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っては、さほど大した問題には思えませんでした。それよりも、兄弟がバラバラになってしまうことの方が問題で、残された者の辛い思いを考えると、あってはならない事だと考えていたのです。三男は学園の先生方に説得され、とりあえず納得してやって来ました。長男は中学一年、次男は小学六年、三男は小学五年の春、こうして我家での生活がスタートしました。
長男は体つきもガッチリしていて腕力も強く、よく食べ、そして何よりも隙間なく機関銃のようによくしゃべくる男の子でした。何事にも自分が一番でないと気が済まず、思い通りにならないと、腕力と言葉で相手をねじ伏せようとし、それを止められると家中の壁やら物をたたいて泣きわめき、感情をストレートに爆発させます。
次男は兄とは対照的に、食が細くやせていましたが、兄程ではないにしてもよくしゃべる方でした。彼は絶えず兄を意識して、正反対の行動をとることによって、私達の目を自分の方に向けようとしていました。「僕っておりこう?」という言葉が彼の口からよく聞かれたように、彼は私達の前では常におりこうでいようと努めているようでした。しかし一旦その「おりこう」がつまずくと途端に態度が急変し、必死で彼な

 

 

 

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